神戸家庭裁判所明石支部 平成5年(家)780号 審判 1994年1月26日
申立人 シモシズ花子
主文
申立人の氏「シモンズ」を「シモンズ石川」と変更することを許可する。
理由
1 申立人は主文同旨の審判を求めた。
2 当裁判所の判断
一件記録によると、次の事実が認められる。
(1) 申立人は、「石川」姓を称していたが、平成5年2月26日に国籍オランダ国のシモンズ・ウィレムと同国の方式により婚姻し、同年8月18日から夫の氏である「シモンズ」姓を戸籍上称するに至った。
(2) オランダ国では、妻は夫の氏と自分の氏を結合して使用することができる(オランダ民法典第1巻9条1項)ところ、申立人は、上記婚姻以来、仕事上も日常生活上も夫の氏と自己の旧姓を結合した「シモンズ石川」という氏を称している。
(3) 申立人は将来オランダ国で暮らすことも考えており、日本での戸籍上の氏とオランダ国で使用する氏とが異なるのは社会生活上極めて不便であることから、氏を「シモンズ石川」とすることを強く希望している。
3 上記2の事実によれば、申立人が求めるとおり氏を変更する必要性は高いといえる。
一方、戸籍法は、外国人との婚姻時に夫婦双方の氏を結合した新たな氏へ変更することについて規定していない。
しかし、国際化が進展してきている社会情勢、このような氏の変更を認めても我が国の氏制度への支障は考えにくいことを考慮するならば、本件申立ては、戸籍法107条1項に定めるやむを得ない事由があるものと認め、許可するのが相当である。
(家事審判官 大門匡)